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知取気亭主人の四方山話

『まるで漫画の世界』

2026年7月15日

我が家には乗用車が2台ある。1台は一昨年購入した車で、もう1台(以下、A車)は長男のお下がりだ。お下がりと言っても、ローン残額はしっかりと払わされたから、購入したのと何ら変わりはない。いわゆる5年落ちの中古車として引き継いでもう10年も経つのだが、ワンボックスカーでシートが少し高く乗り降りが楽、その上後ろのシートを動かせば荷物もそこそこ積めるとあって、使い勝手が良く、手放せないでいる。

このA車、中古車と言っても、エンジンや足回りなどに何ら問題はない。よく見ればかすり傷がチラホラあるものの、買い物など近場への移動手段としては、十二分に役目を果たしてくれている。この様に我々夫婦がA車に満足しているのと同様に、中古車市場は根強い人気があるらしい。車の任意保険を扱っている保険屋さんも、「高値で買い取ってくれるディーラー知っていますから、A車を手放す時はいつでも言ってください」と、公言してはばからない。今どきの車は、半世紀ほど前に比べると格段に耐久性があり、無茶な使い方さえしなければ20年を超えて乗り回すことだって十分可能だ。

学生時代、「車は一般の人が自由に操ることができる最も部品数の多い機械だ」と教授に教えられたが(トヨタによると約3万点:https://global.toyota/jp/kids/faq/parts/001.html)、当時はまだまだ高嶺の花だった。それが今では、公共交通網が手薄な地方にあっては一家に1台が当たり前になった。我が家のように、一人1台という家庭さえある。そうしたことが可能になったのは、格段に性能アップしたことと、中古車市場が確立され庶民でも手が出せる価格になったことが大きい。

住宅市場も同様にしっかりと確立されているが、この再使用(リユース)という考え方、新品よりも安いという点は勿論、資源の有効利用という点からも、今はやりのSDGsに合致した魅力的な考え方だ。では、車や住宅に続いてこの分野でも果たして再使用が確立されるのか、興味津々の先端分野がある。我々の夢を乗せて大空に飛び立つ、あのロケットだ。完全自動運転の車が冥途の土産話になりそうなこの年寄りにとっては、まるで昔読んだ漫画の世界だが、まさかのロケットにも再使用の波が押し寄せている。

7月12日の北陸中日新聞朝刊(以下、新聞)に、「宇宙航空研究開発機構(JAXA)が再使用ロケットに向けた小型実験機の飛行試験に成功した」との記事が載った。上昇(11m)⇒静止⇒水平移動(16m)⇒降下・着陸の一連の動きを約40秒間掛けて行い、成功を確認したとある。JAXAが提供した動画から作成した連続合成写真も一緒に掲載されていて、まさにアニメーションと見間違うほどの臨場感がある。この合成写真を見ると、「遅ればせながら日本もついにここまで来たか」と感慨もひとしおだ。

新聞には、アメリカのスペースX社は既に「ファルコン9」で実用化している、と書かれている。数年前から公開実験していたスペースX社の失敗映像を何度も見ていて、正直そんなこと可能なのかなと疑っていた。したがって、数年経って発射台に無事帰還した映像を見た時には、本当に驚いた。昔ワクワクしながら読んだ「鉄腕アトム」や「鉄人28号」の漫画のシーンそのものだ、と感激したのを覚えている。「こんな風に自由に飛んでいけたらいいのになぁ」と子供心を躍らせていたが、生きている間にそれが現実のものとなり、改めて手塚治虫や横山光輝の発想力に感服している。

ロケットの再使用に突き進んでいるのは、アメリカや日本ばかりではない。お隣の中国も着々と進めている。『Yahoo!ニュース』は、「中国政府は10日、打ち上げ後切り離されたブースターを洋上に浮かべたプラットフォームで回収することに成功したと発表した」と(https://news.yahoo.co.jp/articles/a13775b5a8dc30ba9ecbdbe5340ff11704539765)報じている。こんなところでも、米中は熾烈な競争を繰り広げている。

翻って、日本はこの分野で、この二大国に太刀打ちできるのだろうか。新聞によれば、再使用ロケット実験機の試験飛行は2003年以来だという。JAXAの前身組織から数えれば1999年以来実に27年ぶりになるらしく、随分前から着想していることが分かる。でも、二大国に比べると、進み方が随分遅いのではないかと思えてしまう。恐らく金の掛け方が違うからだ。『宇宙.com』(https://xn--29sob207cg49a.com/business/space-agency-comparison-2026/)に掲載されているデータが正しいとすれば、三カ国の宇宙開発を担う国家機関の予算額(2026年)、その圧倒的な差に驚かされる。

為替レートを仮に1ドル=160円とすると、米国のNASAは約3.9兆円、中国のCNSAは推定約2.2〜3.2兆円もの巨額予算を組んでいるのに対して、日本のJAXAは約0.2兆円に過ぎない。二大国の1/10にも満たないことが分かる。日本の他の省庁の宇宙関連予算をかき集め、補正予算を加えたとしても凡そ0.8〜1兆円にとどまる。各国すべて再使用ロケットへの予算ではないにしても、この圧倒的な差は如何ともしがたい。しかも、スペースXは民間企業で、上記の予算には含まれない。悔しいけれどそれが現実だ。

見ての通り、国家体力では太刀打ちできない。かくなる上は、発想力で勝負するしかない。先人たちが漫画に描いた様な豊かな発想力とその先見性、それが二大国に伍して戦える唯一の日本の強みではないかと思う。それさえ失わなければ「はやぶさプロジェクト」の様に、世界トップレベルの成果を上げることも可能だと信じている。ガンバレ日本!


【文責:知取気亭主人】

ニホントカゲ


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