|
いさぼうコラム
|
|
イソップ童話のアリとキリギリスの物語ではないですが、薪づくりは雪解けが始まるころ木を伐り、雪が解けるころ40〜120cmの丸太にして運んで、積み、初夏から夏にかけて割って薪にして乾燥させるなど、約一年をかけて冬の支度をします。そして、アリさんのように暑い夏から薪割をやらないと冬はキリギリス状態になってしまいます。
毎年「熱くなる前に薪割を完成させると楽」と思いますが、木を伐り終わる頃に山菜取りが始まり、野菜畑の準備〜野菜の苗植えなどが続き、運搬した丸太は積んだまま、結局、夏のジリジリと照る陽の下で薪割やる事になってしまいます。
暑い・暑いと薪割をやっていると秋になり、今度は野菜畑の片づけ、秋野菜の準備、家の修理等などが始まるので薪割は中々終わりません。
少し焦りますが頑張らないことにしています(正直、頑張れないのです)。キリギリスの心境というのかストレスが溜まらないように「なるようになるさ」とやっています。
毎年、そんな状況なのに、今年は頼まれて木を切り、それを運び、家の周りにはたくさんの丸太が積みあがっています。熱くなって来たのですが、まだやる気が出ません、キリギリスにならないくらいに少しずつ冬までやればよいでしょう(本当は良くないのです)。
薪材は良く燃える杉などの針葉樹とゆっくりと燃える広葉樹がありますが両方とも、薪には大事です。
我が家の周りには杉、松の針葉樹やオニグルミ、山栗、朴、山桜などの広葉樹がありますが、山の多くは戦後植林した杉に覆われています。広葉樹の森は明るいですが、杉の森は間伐しないので暗いです。
多くの人は知らないと思いますが広葉樹のオニグルミは周辺に自生していて殻は固く、中身は少ないですが締まっていて、脂分を多く含んでいます。
秋に落ちた実を拾い、土に埋めるか、水にさらして厚い皮を取り、干して保存食にします。最近、オニグルミ、沢クルミが多く、小さめのヒメクルミをあまり見かけなくなりました。
干したクルミは囲炉裏の灰の中で焼いてから中身を穿り出して食べます。冬、囲炉裏で親父が鉈で殻を少し開き、灰の中でゆっくり焼いてくれた実を良く食べました。オニグルミは焼かないと少しえぐみというか渋みがあります。
クルミはすり鉢などでつぶして、砂糖と味噌を入れてから油で練ります。この味噌を餅に塗って焼くと香ばしくて食欲をそそる匂いがたまりません、それが食べたくて毎年作りますが、辛いのが好きなのでカグラ南蛮というピーマンに似た新潟特産の唐辛子や鷹の爪の青いのを刻んで入れて練り、酒の友にもします。
この近辺で矢尻などの石器が出てきますから、昔、昔、生活していた縄文時代人にはクルミが大事な食糧であり、冬の大切な保存食だったと思います。
最近はクルミの実を拾う人も減り、今ではリスやネズミの食糧となっています。春に物置小屋を開けると写真のように孔を穿ったクルミの殻が沢山転がっています。
リスなどは地面にクルミを隠しておくのでしょう、自然にあちらこちらにクルミの木が生えてきます。
薪の木を切るチェーン・ソーは30代のころに仕事で使いましたが、木の下敷きになりそうになったこともあり、やり方を間違えると危険な作業です。
チェーン・ソーは使い方も難しいですが刃を研ぐのがまた難しく、上手く研げないと余計な力が必要で疲れるばかりです。
切れない刃は力も時間も2〜3倍はかかるような気がしますので、上手く研げない人は新しい刃を買うことをお勧めします。嘘のように良く切れます。
秋に薪用の木を物色しておき、雪解けの頃、高さや倒れる方向、足場の状況などによって切る木を決めます。春の残雪の頃に切るのは、雪の表面が硬く凍り歩き易くなり、木が倒れるところに雪があると地面(畑、水田など)があまり傷まないからです。
雪国の木は根元が曲がっていることが多く、根本は円ではなく楕円形をして非常に切りにくいのです。また、杉の木は値段が安く、人手不足で間伐などの手入れをしなくなったために、木の間隔が狭く切りにくいところが多く、広葉樹は良く藤蔓などが絡んでいたりします。
小さいとき親父に連れられて、腰に鉈を付けて、木に絡んだ蔓を切りに行ったことがありました。
木は倒す方向が大切ですが、切った木が近くの木にかかったり、蔓が絡んで倒れない場合が時々あります。この時は注意しないと、どちらに倒れるかわからないのでかなり危険なので、風や雪の重みで自然に倒れるまで待つのが無難です。木を切るとき怖いのは枝が折れ、枝の張り出し方が偏っていて木の重心がずれている場合です。切った途端に木が回転して思ってもいない方向に倒れます。
切りながら木の音(裂ける音)などに注意して、クサビを打ち込みながら倒れる方向を見て、違う方向に倒れそうな場合には逃げる。その逃げ道を考えておくことが肝要です。
切り倒した木は少し放置して乾かして40cm〜120cm前後の長さに切って、積み上げて干し、時間ができた夏に割って薪棚に積んで乾燥させ、冬前に薪小屋や家の中に入れます。冬の暖かいストーブを思いながらです。
昔はほとんどの家に囲炉裏がありました。冬の焚き木つくりは春、雪が解ける前の田んぼの農作業が始まる前に弁当を持ち山に入り、のこぎりで木を切り、そこで割って薪を野積みにして(「にゅう」と言っていました)、上に藁をかけて乾燥させます。冬前に山から家まで担いで運んでいましたが、すごい重労働だったと思います。
火を焚くにはコツがいります。最近は家で火を燃やすこともなく、焚火も禁止ですから、火を焚く方法を知らない人が多いです。
上手に火を焚きつけるには最初は乾燥させた細い枝木や杉の葉に火を点けて、徐々に大きな木に点けていきます。下手な人はどんどん焚き木を入れて動かすので、消えてしまいます。これだけは何回もやって覚えるしか上手くなる方法はないようです。この焚きつけ用の枝は伐り倒した木の枝から粗朶や柴(ここらではボイ)を作り、囲炉裏やストーブの焚き点けにします。最近はオイルをしみ込ませた焚きつけ用の物を売っていますが、枝や細い木は焚きつけに便利です。
ストーブの薪は熱するとどんどん燃えて囲炉裏より早く燃えてしまいます。杉は特に早く燃え尽き、広葉樹は硬いので木の種類や太さにより、最初は燃えにくい傾向がありますが長持ちします。薪は色々な太さにして薪棚に積むときにも燃やすこと考えて積み方を工夫します。
薪の量は寒い時期は夕方から夜までの5〜6時間で10〜15本は必要で朝から焚くにはその倍以上は使います。家の中の薪棚は満杯に積んで約1.1m³くらいの量ですからストーブを焚くと2週間から3週間で無くなります。
11月から4月まで約6か月間ストーブを焚くとして、冬の最盛期の2か月間は1.5m³/月くらい、その他の期間は1m³/月*4か月とすると年に約6〜7m³の薪が必要な計算になります。
我が家の薪小屋と家の中に約4.5m³入るので、不足分(約2m³)は雪が降る前と春の雪解け後に外に積んだ薪棚から家に運んで燃やします。
冬は2台の薪ストーブとコタツを併用して、薪材の量を考えながら燃やしますが、雪に囲まれる真冬は石油ストーブでは寒く、部屋全体が暖かくなる薪ストーブと燃える炎が欲しいのです。
薪が作れなくなった時のために大きなエアコンを入れて試してみましたが、天井の高い木造の家は暖房効果があまり期待できないことがわかりました。
冬の昔の家は不便です。
|
Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved. |