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国土交通省は、いよいよ戦略的な維持管理・更新を開始します。点検・補修と事前防災・減災対策に重点を置いた12年度補正予算が26日に成立したのを受け、自治体管理分も含めてインフラの総点検に本格着手します。
この中で先行するのは道路です。新たに策定した総点検実施要領を自治体に送付し、構造物の老朽・劣化状況の全容把握を急ぎます。
さてこの総点検実施要領(案)、特に目立つのは”第三者被害を防止する観点”というキーワードです。この総点検実施要領は以下の6編に分かれています。
総点検実施要領(案)【橋梁編】
総点検実施要領(案)【道路トンネル編】
総点検実施要領(案)【舗装編】
総点検実施要領(案)【道路標識、道路照明施設、道路情報提供装置編】
総点検実施要領(案)【横断歩道橋編】
総点検実施要領(案)【道路のり面工・土工構造物編】
この中で「道路のり面工・土工構造物編」の中を見てみましょう。
先ず点検の目的は、第三者被害を防止する観点から、のり面工・土工構造物の変状等の異常(部材の落下等により災害、第三者被害につながるおそれがある変状等)を把握するための点検を実施するものである、と書かれています。先日の中央自動車道の笹子トンネル天井崩落事故が念頭にあることがうかがえます。
次に点検対象ですが、点検の対象とする主な構造物は、以下の通りとしています。
| 大区分 |
細区分 |
| のり面工 |
・切土のり面(のり面保護工、のり面排水工等)
・盛土(のり面、のり面排水工等)
・グラウンドアンカー工 |
| 斜面安定工 |
・擁壁工
・ロックシェッド、スノーシェッド
・落石防護工全般(柵・網工等)
・落石予防工全般(ロープ掛け工等)
・その他の斜面安定工 |
| カルバート工 |
・カルバート工 |
グラウンドアンカー工が特記されている他、落石を強く意識した記載のように見えます。
点検対象は、近年の点検(平成8 年度道路防災点検並びに平成18
年度道路防災点検と道路防災点検)によって施設の健全性が十分確認されている構造物を除いたものを選定します。ただしその箇所選定にあたっては、第三者被害のおそれに関する異常の有無に関する情報が十分得られているかを確認したうえで判断する、としています。
点検方法は下表に示すように点検対象構造物に応じ、路上からの目視点検、近接目視、触診や打音検査等により異常の有無を確認します。路上からの目視点検には、双眼鏡等を使用した目視点検を含みます。また、近接目視については、のり面小段等に登っての近接目視や高所作業車の使用も含みます。
またのり面工・土工構造物の数が多量となる場合等は、路上からの点検を一次点検として先行実施し、近接目視点検を二次点検として実施するなど、段階的な点検を行なうことも有意としています。
判定結果は、3段階(× 異常あり 、△ 異常あり(応急措置済み)、○ 異常なし
)で判定します。その判定基準については、構造物毎に下表のように設定されています。
| 点検対象 |
第三者被害につながるおそれのあるもの |
| 切土のり面 |
・のり面崩壊のおそれのある箇所。
具体的には、のり面のはらみだし、傾動、段差、開口量(ずれ量)の大きなクラック、目地の大きな開き、ずれ等が見られるもの。
・吹付け工等の構造物の一部が破損・劣化し、落下するおそれのある箇所。
具体的には、構造物の剥離、浮き等が見られるもの。 |
| 盛土 |
・盛土の一部に崩壊等の変状が見られ,全体の崩壊のおそれのある箇所。
具体的には,路面に円弧状クラックが発生しており(特に繰り返し補修している箇所は要注意),かつのり面・のり尻部に崩壊,あるいは,湧水を伴うはらみだしや軟弱化等の変状が見られるもの。 |
| グラウンドアンカー |
・アンカー構成部材が破損・劣化し、部材の一部が落下するおそれのある箇所。
具体的には、アンカーの破断による飛び出し、頭部コンクリート等の浮き、破損等が見られるもの。 |
| 擁壁 |
・壁面構成部材が破損・劣化し、部材の一部が落下するおそれのある箇所。
具体的には、躯体剥離部分、壁面ブロック破損部の落下、防護壁基礎、笠コン等の付帯構造物が破損により落下するおそれのあるもの。 |
ロックシェッド、
スノーシェド |
・構造物が倒壊・崩落するおそれのある箇所。
具体的には、部材の変形、傾動、著しい劣化損傷、目地部分でのずれ、谷側基礎(地盤の変状等)の見られるもの。
・部材等が落下するおそれのある箇所。
具体的には、コンクリート部材の浮き・剥離・クラックや付属物等を含む鋼部材の著しい腐食、亀裂・破断、緩み、脱落等の見られるもの。 |
落石予防工
および防護工 |
・構造物が倒壊・崩落するおそれのある箇所。
具体的には、部材の変形、傾動、著しい劣化損傷、目地部分でのずれ等の見られるもの。
・部材等が落下するおそれのある箇所。
具体的には、コンクリート部材の浮き・剥離・クラックや付属物等を含む鋼部材の著しい腐食、亀裂・破断、緩み、脱落等の見られるもの。
・落石予防工の対象岩体が落下するおそれのある箇所。
具体的には根固め材料の崩壊や岩体基部の洗掘等が見られるもの。 |
| カルバート |
・壁面構成部材が破損・劣化し、部材の一部が落下するおそれのある箇所。
具体的には、側壁や頂版の部材の浮き・剥離・クラックや、付属物等を含む鋼部材の著しい腐食、亀裂・破断、緩み、脱落等の見られるもの。 |
結果は、構造物リスト、調査記録表、現状写真としてまとめるとなっていますが、書式は過去の防災点検とそれほど変わっていません。グラウンドアンカーなど構造物に着目した場合はこれらの書式では十分でなく、工夫が必要です。
グラウンドアンカーでは、「グラウンドアンカー維持管理マニュアル」が出されています。これはもっと細かい点検となりますが、では今回どの程度の点検としますか?についてはこの要領からは読みとれず、ただ発注は待たないことから緊急の検討事項と言えそうです。 |