2026年度の日本地すべり学会「第65回研究発表会および現地見学会」は、9月15日〜18日に群馬県高崎市で開催されました。初日は県民講演会、2日目と3日目は特別講演と研究発表会が行われ、最終日は現地見学会が行われました。
例年通り、会場は多くの参加者で賑わい、研究に関する熱い議論が交わされていました。今回の口頭発表は113件、ポスター発表は65件でした。また、新技術を紹介するブースが設けられ、37機関が出展していました。
(昨年は、口頭発表129件、ポスター発表55件、新技術紹介27機関でした。)
開催日:2026年9月15日〜18日
会 場:Gメッセ群馬会議施設
URL:https://japan.landslide-soc.org/2026gunma.html
| 地すべり機構 | 16件 |
| 地すべり調査 | 16件 |
| 地すべり計測 | 8件 |
| 斜面安定・解析 | 11件 |
| 事例報告 | 15件 |
| 対策・施設維持管理 | 11件 |
| 防災教育、警戒・避難 | 4件 |
| 提案型�@:国際交流 | 9件 |
| 提案型�A:新しい変位計測手法に基づいた斜面崩壊発生予測 | 9件 |
| 提案型�B:地震地すべりの評価手法について | 14件 |
| 合計 | 113件 |
数ある発表の中で、非常に興味深かった発表とセッションを紹介します。
このセッションにおける発表は、日本地すべり学会内の「地震に対する地すべり災害危険性の簡便な評価手法の開発研究部会」を中心としたものでした。能登半島地震の地すべりを最新の知見として地震地すべりの事例に加えるため、また、実務への適用や容易な改良を目指して取り組まれています。この研究部会ではAHP法による点数付けや高精度LiDARの判読による評価など、様々な観点から研究が行われていました。このような取り組みが実現できるのは、能登半島地震では発災前後の高精度DEMが存在するため、これまでの災害とは異なり、より詳細な分析ができることが大きな要因ではないかと思いました。
地すべり調査のセッションでは地すべり地形判読に関する研究発表があり、これらは判読技術の継承、地すべり地形判読の精度向上、AIによる地すべり地形抽出の精度向上を目的とした発表でした。特に、技術継承は土木分野の様々なところで課題となっていますが、ここで発表された研究では、アイトラッキングで熟練技術者が地すべり地形判読中に着目している箇所と、判読中の発話で出現した単語との紐づきを示していました。熟練技術者の暗黙知を視点や発した単語から具体化する取り組みは、非常に面白く感じ、今後において重要な研究であると思いました。
いさぼうネットにてコラム「歴史的大規模土砂災害地点を歩く」を執筆中の井上公夫氏の口頭発表がありました。井上氏の口頭発表と、後に続く2題の口頭発表は一連の発表でした。昨年の秋、現地調査をされた6名で3題の口頭発表をされました。井上氏が、尾瀬沼南東部の巨大地すべりの前段を話されました。井上氏の発表は、昭和46年(1971)から始まっており、高橋氏と岡崎氏は、その後の巨大地すべりの変動状況について説明されていました。
防災科学技術研究所 佐藤昌人, 日本工営(株) 岡崎丈, 日本工営(株), 高橋響介 ※敬称略)
尾瀬沼南東部の巨大地すべりの詳細については、いさぼうネットの以下コラムで記されていることが紹介されました。
新技術紹介セッションでは、地すべり学会初の試みとしてスタンプラリーが開催されました。
全37箇所の展示ブースを巡って説明を受け、スタンプやサインを集めた数に応じて記念品がもらえる企画です。この取り組みによりブースを回る中で、一見すると自身の専門や担当業務とは直接関係がないと思われる技術の中にも新たな気付きや発見があり、知見を広げることができました。
終了間際には、なんとか無事に全ブースをコンプリートでき、記念品の達磨とお菓子をもらうことができました!
2027年度は新潟市で開催される予定です。ご興味のある方は、ぜひ参加されてはいかがでしょうか。
▽公益社団法人 日本地すべり学会
https://japan.landslide-soc.org/
▽シリーズコラム 歴史的大規模土砂災害地点を歩く(いさぼうネット)
https://isabou.net/knowhow/colum-rekishi/
▽(公社)日本地すべり学会「第64回研究発表会」参加レポート
(いさぼうネット:令和7年10月2日公開)
https://isabou.net/Convenience/Tool/report/20251002.asp